現金を持ち歩かなくてもいいので大変便利なクレジットカード。
おまけに使えば使うほどポイントが貯まり、いい事ばかりと思われがちですが、実はそうでない場合もあります。この記事では「お店で手数料を上乗せ」されるケースについて見ていきましょう。
▼動画でも学ぶことができます。
この記事の目次
えっ!カード手数料を上乗せ??
ケロンくん
友達とのレストランでの楽しいランチも終わり、会計を済ませようとした時…
「すみません、当店ではカードでお支払いの場合手数料として5%いただくことになっております」
と言われビックリしてしまいました。
予約時にもカード利用可だと聞いていたので来たので手持ちの現金も足りず、結局仕方なく手数料の5%を上乗せして支払ってしまいました。
ケロンくん
久しぶりに集まった高校時代の友人との1次会。
自分がまとめてクレジットカードで精算したため、帰宅後にポケットの中から出てきた明細書を見てビックリ!
何と「カード手数料」として6%上乗せされて支払ってた!!
カード利用可と謳いながらも、「カード手数料は頂きます」と堂々とHP上に書いているお店も多数あります。
これって違法じゃないの?
クレジットカードが使えるからということで入店したのに、精算時に手数料を上乗せ。
これは違法なのでしょうか?
民法上は?
民法上違法である場合もあればそうとは言えない場合もありケースバイケースですが、専門家の一人はこのように述べてらっしゃいます。
[引用元:クレジットカード手数料について – 弁護士どっとこむ]JCBにクレームをつけてきたお客様は、5%の上乗せを了承していたとしても、それが規約違反だと知らなかったとしたら、その上乗せの了承を、錯誤により無効だと主張することも可能だと思いますので(民法95条)、返金に応じるのはやむを得ないのではないか、と思います。
加盟店契約上は?
これは明らかに違反です。
クレジットカード会社は各加盟店に対して手数料の上乗せを禁止しているからです。
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ではどうしてこのような事が起こるのでしょうか?
そもそも手数料って誰が払うべきなの?
クレジットカードの加盟店手数料のお話をする前に、もう一度クレジットカードの仕組みについて簡単に復習してみましょう。
私たち(上の図では「あなた」)がたとえばガソリンを買った場合、上の①から⑥までの順で商品(ガソリン)やお金が流れていきます。
【消費者側のメリット】
私たちがクレジットカードを使うと、多くのメリットが生じます
・カードの利用代金を支払うとポイントが付与されます
・カードを使うと細かい現金を持ち歩かなくても良くなります
・リボやボーナス払いがあるため、手持ちのお金を気にせずに高額なものが買えます
・ポイントをマイルに移行すれば無料で海外旅行に行けます
ただし、私たちはクレジットカード会社と『ちゃんと利用代金を支払います』という契約を交わし、入会審査を受け、その基準を満たすことでクレジットカードを発行してもらっています。
【店側のメリット】
一方この図を店側から見ると、私たちがクレジットカードを使うことで店側にも実は多くのメリットが生じます。
-
・所持金が少ない人にも販売可能です
・カード払いだと手持ちのお金を気にしなくてもいい分、高額なものが売れます
・現金より客単価が高くなります
・つり銭を用意する手間が少なくなります
・強盗や従業員の横領などのリスクが下がります
・カード入金だと管理が楽になります
また、高級ホテルなどではチェックイン時に必ずクレジットカードで一定額をデポジットします。
これにより、宿泊料を払わないままチェックアウトしてしまった滞在客がいたとしても、ホテル側はあらかじめ登録しておいたクレジットカードに請求すればいいだけです。
また、チェックアウト後に宿泊した部屋などに不具合があった場合も同様にクレジットカードに請求すればいいだけとなります。
現金取引の場合こういった事が出来ないため、ホテル側が泣き寝入りするケースが一般的です。
アメリカなどでは当たり前ですが、最近は日本国内の病院でも入院時にクレジットカードのデポジットを求められる病院も出はじめています。
店側にとってもメリットは多いのです。
【クレジットカード会社のメリット】
一方、この図をクレジットカード会社側から見た場合どうなるでしょうか?
カード会社は入会審査後私たち消費者にカードを発行し、かつカードを使えるお店(加盟店)を開拓していきます。
また、私たちがカードを使って商品を買ったり、レストランで食事をした際、カード会社は消費者の代わりに購入代金や食事の代金を加盟店に支払います。
その後、消費者の銀行口座から購入分の代金が引き落とされます(これはカード会社などで前後する場合もあります)。
実際はもう少し複雑で、
-
①国際ブランド(Visa,Master Card,JCBなど)がイシュアー(カード発行会社)とブランド参加契約を結びます。
たとえば三井住友VISAカードでしたら、国際ブランドはVISAでイシュアーが三井住友カードということです。
②アクワイアラ(加盟店管理会社)が新規開拓した店舗(加盟店)と加盟店契約を結び、これで私たちがクレジットカードを使えるようになります。
なお日本の場合、イシュアとアクワイアラを同じ会社が行っている場合が多いです。
さきほどの三井住友カードの場合も、三井住友カードがイシュアとアクワイアラの両方を兼ねています。
このようにクレジットカード加盟店の獲得と管理を行っている会社をアクワイアラと呼びます。
③私たちが店舗(加盟店)で使用したカード代金を店舗に代わり徴収する代わりに、店側に代金が支払われます。
その代わり店舗側はアクワイアラに対して加盟店手数料を支払います。
業種によって違う加盟店手数料
では加盟店手数料を店側はどれくらい支払っているのでしょうか?実はこれは業種によってかなり違います。
すべてのカード会社が同じではありませんが、大体の目安としては
-
・コンビニ、スーパー、家電量販店・・・1~1.5%
・百貨店、チェーン店・・・2~3%
・小売店、専門店・・・3~4%
・バー、飲食店など酒類を提供する店・・・5~7%
・風俗店・・・8%以上
となっています。
ではどうして業種によって手数料が違うのでしょうか?
カード会社は私たちから代金を徴収しますが、すべての代金が徴収できる訳ではありません。
貸し倒れが起き、最終的には代金の徴収が不可能になる場合もあります。
このようなケースのデータを取り、どのような業種でカードが主に使われたかを分析することにより、アクワイアーは業種別に手数料割合を変えることにより、貸し倒れのリスク管理をしているのです。
この加盟店手数料が、薄利多売の価格競争を強いられている店側の利益を圧迫しているのです。
たとえば飲食店の場合
私たちが普段からよく行く飲食店。その収益構造はどうなっているのでしょうか?
経営状態がいい、つまり儲かっているお店で売り上げが100万円だった場合、大体このようになっています。
項目 | 金額 | 比率 |
売上高 | 100万円 | 100.00% |
材料費 | 30万円 | 30.00% |
人件費 | 40万円 | 40.00% |
家賃 | 13万円 | 13.00% |
水道光熱費 | 3万円 | 3.00% |
広告宣伝費 | 2万円 | 2.00% |
営業利益 | 12万円 | 12.00% |
まず、食材原価率は一般的に飲食の場合30%前後が一般的です。
それ以外に人件費が大体40%、家賃が13%前後で、最終的な営業利益は12%前後あれば店舗として理想的だと言われています。
儲かっていない(苦戦している)お店の場合、この営業利益が10%を下回ってきます。
また最近では人件費の高騰により、売り上げの40%以内にとどめるべき人件費が40%を越えてしまっている例もよくあるそうです。
こうなると更に営業利益が下がります。
営業利益のうちの何割か(金額によります)は最終的には税金として納税することになり、納税後の残ったお金は数年後の店舗改装資金や更なる事業展開のための資金となります。
だから加盟店手数料を上乗せする
上記の飲食店の場合で、100万円の売り上げのすべてを私たちがクレジットカードで決済したらどうなるでしょうか?
仮に加盟店手数料が4%だったとすると、12%残った営業利益のうちの三分の一を加盟店手数料として支払わなくてはならなくなります。
経営状態が悪い店での場合、営業利益の約半分を加盟店手数料として支払うことは将来の費用を考えると厳しいのです。
「クレジットカードは店側にも多大なメリットを及してはくれるものの、最後に残った利益のかなりの部分を加盟店手数料として取られるのは厳しい。」
そう思っている店舗は決して少なくなく、それが加盟店手数料の上乗せに繋がっているのです。
上乗せ手数料を請求されてしまったら
加盟店手数料が利益率の低い店の利益を更に押し下げる事になっているとしても、加盟店手数料の上乗せは店側の加盟店規約違反です。
上乗せされたとしても支払う必要はありません。
そこで万が一請求されてしまった場合の対処法を考えてみましょう。
まずは断る
当然ですが断るべきです。
店に入った時に「もしクレジットカード払いの場合は5%のカード利用料を上乗せします」と言われたのならまだしも、いざ精算の時にカードの場合は手数料をいただきます、ではこちらも堪ったものではありません。
まずは1度は断ってみましょう。
現金で支払う
とは言っても断るには勇気がいりますよね。
もしもお手元に現金があるのなら、迷わず現金で支払いましょう。
カード払いの方が便利だしポイントも貯まりますが、加盟店手数料の上乗せ分と比べた場合、現金で支払った方がお得です。
手元に現金がなかった場合
精算時に現金がなかった場合、これはもう仕方ないので加盟店手数料の上乗せ分もカードで決済するしかありません。
ただしこの場合、領収証と明細書を必ずもらってください。
明細書があれば、明細書の中に「カード手数料5%」などの記載が必ず残ります。
これが、店側が加盟店手数料を消費者側に負担させている証拠となります。
店を出たらすぐにカード会社に電話をしよう
万が一加盟店手数料の上乗せ分もカードで支払ってしまった場合、店を出たらすぐにカード会社に連絡しましょう。
その時に出来れば「カード手数料」などの名目で請求された明細をカード会社側にメール等で渡してください。
アクワイアラ側から必ず店側に対して、加盟店手数料の上乗せ分の請求を取り下げるように指示が入ります。
明細書がなければ、本当に加盟店手数料を上乗せされたのかどうかアクワイアラ側にもわかりませんが、明細書にしっかりと証拠が残っていれば、店側に指導せざるを得ません。
意外と痛い!加盟店契約を解除された場合の店側のデメリット
では加盟店契約を店側が解除された場合、どのようなデメリットがあるのでしょうか?
入金の管理や小銭の用意などの手間が増えるのもありますが、一番大きいデメリットは客層が狭まることです。
「現金しか受け付けません」となると、商品の良し悪しに関わらず、現金払い以外の客層を遠ざけてしまうのです。
またクレジットカードにはリボ払いやボーナス払いがあるため、現金払いと比べると客単価が高くなりますが、これも現金払いのみになると、そういったメリットは生かせなくなります。
ケロンくん
上乗せ手数料とは違う手数料
加盟店手数料の上乗せ請求とは違いますが、それ以外のケースでカード利用者が手数料を支払う場合があります。
クレジットカード・サーチャージ
加盟店手数料の上乗せ請求は日本国内では加盟店契約違反ですが、国外の場合そうでない国もあります。
オーストラリアでは加盟店手数料をカード利用者へ請求してもいいという条例があり、このクレジットカード・サーチャージ(Credit Card Surcharge)を利用手数料の1~6%程度を利用金額に加算したり、数ドル程度の定額を加算するところもあるそうです。
為替手数料
海外でカードを使用した場合、為替手数料を手数料として実勢レートよりも円安なレートで計算された金額をカード会社に支払うこととなりますが、これも上乗せ請求とは異なります。
たとえば、海外のサイトでワインを購入してカード払いをした場合、翌月のカード会社からの請求には為替レートが掛かれています。
108.89と記載されていた場合、1ドル=108.89円で決済しましたという意味なのですが、実際の当日のレートはもう少し円高です。
つまり実勢レートよりも円安で計算されているため、カード利用者は支払い時には割高の値段を支払うことになります。
これが消費者がクレジットカード側に支払う為替手数料になるわけです。
まとめ
クレジットカード加盟店がアクワイアラに支払う加盟店手数料のためにわずかな利幅が更に少なくなってしまうのは気の毒ですが、クレジットカード加盟店になったお陰で客数や客単価の上昇の恩恵を受けているのも事実です。
しかし、クレジットカード利用者側に手数料の上乗せ請求をするのは明らかな加盟店契約違反です。
上乗せ請求をされた場合、泣き寝入りせずにクレジットカード会社に報告し健全な形でのクレジットカード社会の育成を促進させましょう。
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